
北海道では今、統合型リゾート(IR)誘致をめぐる議論が再び動き出しています。かつて環境面や時間的な制約から一度は誘致を見送った経緯がありますが、観光需要の回復や地域経済への期待を背景に、複数の自治体が再び関心を示し始めました。全国的にも大阪に続く第2・第3のIR候補地選定に向けた動きが政府主導で加速しており、北海道はその有力な候補の一つとして名前が挙がっています。この記事では、北海道でビジネスを展開する事業者の皆さまに向けて、IR誘致の経緯や自治体の動き、経済効果の試算、そして課題となっている論点まで、最新の市場調査情報として整理してお届けします。
北海道のIR構想は2018年前後から本格化しましたが、一度は白紙に戻った過去があります。まずはこれまでの経緯と、直近の意向調査で明らかになった数字を確認しておきましょう。
北海道の統合型リゾート(IR)誘致が再び注目されている。
苫小牧市と函館市がIR誘致に積極的である。
環境保護の観点から過去にIR誘致が見送られた背景がある。
苫小牧市の植苗地区は、新千歳空港に近い立地から北海道内で最有力の候補地とされていました。しかし2019年、鈴木直道知事は、オオタカやクマゲラといった希少鳥類の生息環境への影響を十分に評価する時間が国の申請期限までに確保できないと判断し、誘致を見送りました。
北海道は2025年8月、道内全179市町村を対象に「北海道らしいIRコンセプト」に関する意向調査を実施しました。その結果、81の自治体がいずれかの地域でのIR整備に関心があると回答しています。自治体名は非公表とされていますが、関係者によれば苫小牧市と函館市が自市内での誘致に強い意欲を示しているということです。
意向調査で名前が挙がった自治体では、それぞれ異なる立地条件や課題を抱えながら検討が進められています。地域ごとの温度差を把握しておくことが、今後の展開を読むうえで重要です。
苫小牧市は、金澤市長らが植苗地区を引き続き最適な候補地と位置づけ、再挑戦の姿勢を明確にしています。新千歳空港に近い交通アクセスの良さは、国内外からの観光客誘致を狙う事業者にとって大きな魅力とされています。
釧路市も阿寒湖畔地区での開発に関心を示しており、鶴間市長は観光拠点としての価値向上に不可欠だと述べています。ただし、自然環境への配慮に加え、地域に根付くアイヌ文化との調和をどう図るかが検討課題として挙げられています。
一方、函館市は現時点で情報収集の段階にとどまっており、具体的な計画には至っていません。都市規模の制約から、必要とされる事業規模のリゾートを単独で誘致できるかどうかは不透明ですが、将来的な参画の可能性は排除していません。
自治体の関心が広がる一方で、北海道がIR誘致を実現するにはいくつもの構造的な課題を乗り越える必要があります。ここでは市場調査で示されている主なデータを見ていきます。
北海道の人口は2023年時点で約515万人となり、ピークだった1997年から約55万人減少しています。また新千歳空港の年間利用者数は、コロナ禍前の2019年でも約2,200万人にとどまり、大阪の関西国際空港(約3,200万人)と比べると見劣りする水準です。こうした人口動態や交通インフラの規模感は、事業者が投資判断を行ううえでも無視できないポイントといえます。
一方で明るい材料もあります。道内の観光消費額は2019年時点で約1兆4,000億円に達しており、IRが実現すれば年間数千億円規模の経済波及効果が見込まれるとの試算も出ています。冬季のウィンタースポーツと夏季の自然観光を組み合わせた通年型リゾートとしてのポテンシャルは、北海道ならではの強みとして注目されています。宿泊業や飲食業、小売業など裾野の広い業種にとっても、IR誘致は新たな需要創出のきっかけになり得るテーマです。
北海道が開いた有識者懇談会でも、整備効果と並んでギャンブル依存症対策の重要性が繰り返し議論されています。IRは「管理化された賭博」であり、入場時の年齢確認など既存の公営競技やパチンコとは異なる仕組みが導入される点を、道民にわかりやすく伝える必要があるとの指摘も出ています。意向調査で「関心なし」と答えた98自治体からも、依存症や治安、自然環境への影響を懸念する声が寄せられました。
こうした市場調査データは、観光業や宿泊業だけでなく、北海道内で事業を営むさまざまな業種の経営者にとっても押さえておきたい情報です。IRの立地が決まれば、周辺エリアの需要構造や人の流れが大きく変わる可能性があるためです。
IRを含むカジノ関連業界の国内外の動向や市場データをより詳しく調べたい場合は、専門情報を扱うサイトを活用するのも一つの方法です。国内の議論だけでなく、大阪のIRプロジェクトや海外事例と比較しながら情報収集することで、地域ビジネスとしてどのような対応が求められるかを具体的にイメージしやすくなります。
なお、観光関連ビジネスの支援制度や補助金活用については、当サイトの北海道観光ビジネス支援情報でも詳しく紹介していますので、あわせてご確認ください。
北海道のIR誘致は、2019年の断念から一転し、81自治体が関心を示すまでに議論の裾野が広がっています。苫小牧市や釧路市が前向きな姿勢を見せる一方、人口減少や交通インフラ、ギャンブル依存症対策といった課題は依然として重く、国による最終的な候補地選定にも時間がかかる見通しです。政府が第2の候補地選定を前倒しする方針を固めているとの報道もあり、今後数年は北海道にとって重要な局面が続くと考えられます。地域でビジネスを展開する事業者の皆さまも、市場調査データや自治体の動向を定期的にチェックしながら、変化に備えていきましょう。
北海道でのIR誘致の主な目的は、観光需要の回復と地域経済の活性化です。これにより、新たな雇用機会の創出や地域全体の発展が期待されています。
2019年に北海道は環境面の懸念からIR誘致を見送りました。特に希少鳥類の生息環境への影響を評価する時間が国の申請期限までに十分に確保できなかったことが理由です。
最新の意向調査によると、81の自治体がIR整備に関心を示しています。具体的な自治体名は非公表ですが、苫小牧市と函館市が自市内での誘致に強い意欲を示しているとされています。
佐藤 健一
北海道の中小企業・個人事業主に向けて、デジタル化、IT活用、Web運用、補助金・助成金情報をわかりやすく発信するライター。業務効率化や集客強化、DX推進に役立つ実践的な情報を中心に、起業・ビジネス支援から北海道の観光・グルメ・移住情報まで幅広く紹介しています。地域の事業者が安心して次の一歩を踏み出せるよう、身近で信頼できる情報提供を心がけています。
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